南国の秘薬春ウコン

肝臓機能と胃腸を活性化する黄色い根茎

糸川 秀治 著 1996.12.23 発行
ISBN 4-89295-372-5 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


八代将軍吉宗が栽培に力を入れた

南国の秘薬春ウコン

古くから知られていたウコン
ウコンは中国だけでなく、日本でも古くから知られた生薬でした。
邪馬台国では、ウコンを染料として使うだけでなく、女王卑弥呼が薬としても愛用し、中国の王にもこれを献上したとさえいわれています。
また、古代の遺跡から出土した衣服などで、ウコンを使って染められたと推定されるものが見つかっています。
平安時代に編纂された『本草和名』にも、鬱金として紹介されています。

薬効に注目されていた
さらに江戸時代になると、八代将軍吉宗が、薬用植物の栽培に力を入れ、朝鮮人参の栽培に成功したりしましたが、そのときにこのウコンの栽培も試みられたようです。その結果、栽培にも成功し、やがて一般の人にもその名を知られるようになりました。
江戸時代も後期になると、ウコンは薬効の高い南方植物として人気を集めていました。そのころ出版された多くの植物図鑑などにもウコンは紹介されています。
エレキテルの発明などで知られ、江戸時代きってのユニークな人物だった平賀源内が書いた『物類品隲』という本にもウコンが紹介されていて、
「幕府の薬園で多く栽培されている」
とあります。
江戸幕府でも、このウコンを薬効にすぐれた植物として、大事に栽培していたのでしょう。
ここでいうウコンは春と秋の区別はされていません。従来はいっしょに思われていた薬効に関しては、最近の化学的研究の結果、「春ウコン」のほうに強くあり、それにくらべると「秋ウコン」には弱いことがわかっています。




その他の各種薬用植物関連書籍