ここ何年か「ED」という言葉をよく耳にするようになりました。EDとは、男性が満足な性行為を行えない性機能障害のことです。そして、このEDが話題になるにつれて脚光を浴びるようになったのが、本書でご紹介するトンカットアリです。
トンカットアリは東南アジアの熱帯雨林に自生する薬用植物で、もともとは現地の人々の古くからの民間薬だったのですが、EDに効果がある、しかも安全である、ということで一躍、その人気に火がつき製品化されるようになりました。現在マレーシアでは、政府の管理のもとにトンカットアリの製品を生産しています。
ところで、私がトンカットアリを知ったのは、1981年のことです。この年、私たち東京薬科大学の研究者は、東南アジアに薬用植物の調査に行ったのですが、現地の人々の誰もがその素晴らしさを口にしたのが、トンカットアリだったのです。そこで、日本に持ち帰って研究したところ、トンカットアリは抗ガン性を有していることが確認されました。
また、トンカットアリについては、マレーシアやアメリカなどでも研究されており、トンカットアリのもつさまざまな効能を科学的に裏付けるデータが、いろいろと報告されています。詳しくは本文に譲りますが、それらから浮かび上がってくるのは、いわば「元気回復薬」としてのトンカットアリの姿です。たとえば、EDの原因の一つとして加齢が挙げられます。つまり、EDは老化現象ともいえるのですが、トンカットアリは体に活力を与えて元気にすることで、EDを改善します。また、疲労回復にも効果を発揮し、体を元気にしてくれます。
このように、「元気回復薬」としての性格をもつトンカットアリは、私たち日本の社会で最も必要とされているサプリメントと言っても過言ではないでしょう。というのも、ますます高齢者が増える社会において、人びとが如何に元気でいられるかは大きな問題だからです。
本書がトンカットアリを知るうえで、一つの糸口となれば幸いです。