エゾウコギという薬草の名前をご存じの人は、それほど多くはないでしょう。それもそのはずで、この薬草が明らかになったのは1960年代になってからなのです。
最初に発見したのは、旧ソ連の科学アカデミーの研究チームでした。このチームは、朝鮮人参とエゾウコギの類似について調べを進めるうち、エゾウコギには朝鮮人参にまさるとも劣らない効果があることに気がついたのです。
以来、さまざまな実験・研究がおこなわれ、成分や薬効もくわしく解明されてきました。そして、この成果が発表されるや、その驚異的な効能は各方面から注目を集めることになったのです。
漢方の研究があれほどさかんであった中国でさえ、この薬草の効果を発見できなかったのは、不思議としかいいようがありません。おそらく、朝鮮人参が生育するところにエゾウコギが生育しないというところから、朝鮮人参にばかり目がいき、ついつい見逃してしまったのかも知れません。しかし、その中国でも現在はエゾウコギをさまざまな薬効を持つ生薬とみなし、研究や栽培がおこなわれています。
エゾウコギの効果は実に多岐にわたるため、とても一口で説明することはできません。その理由は、エゾウコギが体力や免疫力を増強してくれるため、ある特定の疾患に著効があるというよりは、ほとんどの病気に役立ち、健康を守ってくれるといったほうが適切でしょう。
発見こそ遅れたけれど、朝鮮人参にも匹敵する素晴らしいエゾウコギを上手に活用して、きびしい現代を生き抜くための体力をつくり、健康を維持していただけたら、著者としてもこれにまさる喜びはありません。