現在、わが国は世界一の長寿国になりましたが、同時に“生活習慣病”(成人病)は増加の一途をたどり、寝たきりのお年寄りの増加など深刻な悩みをかかえています。
これから考えていかなければならないのは、単に寿命を延ばすことではなく、健康に生き生きと充実して生きられるか、つまり高齢化社会でのクオリティー・オブ・ライフ(QOL=生活の質)をいかに高めるかという問題です。
QOLを高めるには、まず健康が基礎になります。人間は年をとるとともに恒常性維持力(ホメオスターシス)や免疫力(生体防御)が衰え、免疫系の障害から感染やがんをはじめとする病気が発症しやすくなります。私は薬学者の立場から、老化の速度を遅らせる老化予防物質の研究をずっと続けてきましたが、その中で特に注目したのが、アロエでした。
アロエはご存じのように「医者いらず」とも言われ、古くからいろんな症状に効く薬草として愛用されてきました。
最近では、血糖値を下げる作用から糖尿病対策に用いられたり、アロエにがんの第一歩「前がん病変」を抑える働きがみつかるなどのうれしい報告もされています。
現在も、続々とすぐれた薬効、新しい効能が最新医学の研究で解明されているアロエですが、老化でみられる免疫機能の低下をアロエが予防するという実験結果が報告され、あらためてアロエが見直されてきました。
アロエの効果を現代流にあらわすならば、「自然治癒力を高めるアロエ」と言えるのではないでしょうか。
本書では、古くて新しいアロエにもう一度スポットをあてて、その魅力と効能に迫ってみたいと思います。