自然治癒力を高めるあしたば(明日葉)

今日摘んでも明日には芽を出す驚きの生命力

山之内 慎一 監修 1996.01.30 発行
ISBN 4-89295-356-3 C2177   文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


今日から元気が蘇る「明日葉」

自然治癒力を高めるあしたば(明日葉)

ガンに効く食物として一躍、脚光を浴びた明日葉。「きょう葉っぱを摘み取っても、明日にはもう芽を出す」とは少しオーバーな表現かもしれませんが、この強靭な生命力が明日葉の名前の由来です。

明日葉は、伊豆七島が原産地。なかでも八丈島が発祥地とされています。いつのころからか三宅島や伊豆大島などにも野性の明日葉が群生し、伊豆半島にまで群生地が広がりました。さらに湘南海岸付近や房総半島、四国・瀬戸内にまで勢力を拡大しています。じつに日本が原産の野草といえるでしょう。八丈島や大島、三宅島などを訪ねると、お年寄りの元気なのには驚かされます。都市と違い近所付き合いも頻繁で、車などは使わず、しっかりと脚で歩きます。店では生鮮食料品がちょっと高めですが、代わりに周りには新鮮な明日葉がたくさん自生していますから、これを摘んで、天ぷらやお浸しなどにして食べればいいのです。

明日葉の効能の証言として、八丈島の飢饉の話は有名です。時化で船便が到着しなくなり食物が極端に不足したとき、明日葉だけで飢えをしのぎ、餓死者をだすことなく乗り切ったのです。このことは、明日葉はカロリー的にはそれほどでもないのですが、栄養的にバランスがとれていることの証明にもなるでしょう。厚生省調査によれば、伊豆諸島の島民の成人病罹患率は、全国平均にくらべ低いとの結果です。温暖な気候と新鮮な魚介類、おいしい空気とのんびりした生活パターンがいいのですが、私は「明日葉が、元気の源のひとつだ」と確信しているくらいです。

有名な秦の始皇帝が、東海の島にあるといわれる「不老不死の薬草」を徐福という男を派遣して求めたといいます。それが明日葉だという話も眉唾とは思えません。伊豆大島・三原山の噴火後、溶岩を押しのけて真っ先に芽を出す強靭な生命力。小さな島から日本列島へと勢力を広げる繁殖力には驚くべきものがあります。

それでは、この驚異的な明日葉の秘密に迫ってみます。


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