アーユルヴェーダの伝統薬草バコパで心の病に克つ

不眠症・不安障害を癒やし、脳を活性化するハーブの力

矢澤 一良 著 2003.12.28 発行
ISBN 4-89295-441-1 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


アーユルヴェーダで珍重されてきた「癒しのくすり」

アーユルヴェーダの伝統薬草バコパで心の病に克つ

ストレス社会の現代では、自分の眠りに不満をもつ人が多くみられます。例えば1997〜98年に国立公衆衛生院が、全国の成人およそ千人を対象に実施した調査では、5人に1人が不眠症と報告されています。

仕事上のトラブルや家庭内のもめごと、複雑な人間関係といった不快なストレスはもとより、昼と夜の境目のない生活リズム、ジェット機による短時間での長距離移動、インターネットの普及による運動量の低下など、利便性の高い社会システムも、目に見えないストレスとなって現代人を絶えず曝露し、睡眠環境の悪化につながっています。

こうした状況からもはや逃れられないことを考えると、潜在性を含めて1億2000万人「総不眠症」の時代といってよいかもしれません。そして眠れない人の増大につれ、不安障害に代表される「心の病」に悩む人も増えてきました。両者は深く関連していて、不眠症は心の病気の引き金であり、同時に心の病の警告信号として現れている場合もあります。

今後ますますストレス因子は増大し、社会の高齢化が進むことから、不眠や不安を訴える人は増えていくでしょう。そうした心因性のトラブルは医薬品での回復が難しいため、生活習慣病同様、これからは予防医学の重要性がもっと見直されていくべきだと、私は考えています。

予防医学においては、医者に依存するだけでなく、健康を守ろうとする個人個人の努力が要求されます。そこで役に立つのがバコパです。

バコパは、インドの伝統医学アーユルヴェーダ(Ayur-Veda)で、古くから天然の向精神薬として珍重されてきたハーブ(薬用植物)です。
アーユルヴェーダとは、サンスクリット語で「生命の科学」を意味し、日本ではあまり知られていませんが、ギリシャ医学、中国医学と並ぶ世界三大伝統医学の1つです。一説では、中国医学より歴史が古く、中国医学やギリシャ医学に多大な影響を与えたともいわれています。

伝統医学というと、非科学的な“あやしげな”医学といった印象があるかもしれません。確かにアーユルヴェーダも、長年にわたってインドの周辺諸国でおのおの独自に実践され、一部は散逸したりしていたようです。しかし、いま日本に伝えられているアーユルヴェーダは、もっぱら近年になってインドの代表的な医師たちが総力をあげて集大成したもの。しかも、それを今度は欧米の医師たちがこぞって西洋医学の見地から科学的な検討を加え、次々と薬理効果が解明されています。

バコパはそうした素材の代表で、本文で述べるように有効成分の特定はもとより、効果のしくみについても科学的にしっかりしたデータが揃っています。もちろん、食品としての安全性も万全です。

ところで、アーユルヴェーダは、中国医学同様、病気を治す医学というより、健康を高める医学であり、現代医学でいう予防医学に相当します。しかも、体に現われている病気を、精神面・心理面を重視してケアしていくところが特徴です。ややもするとこれが「あやしげな」イメージにつながるわけですが、現代病の大半に心理的ストレスが関与していることを考えれば、じつに理に叶った医学なのです。

眠れない人、不安でたまらない人は、5千年の歴史をもつ伝統医学で珍重されてきたバコパの力をぜひ体感していただきたいと思います。


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