アーユルヴェーダの伝統薬草バコパで心の病に克つ

不眠症・不安障害を癒やし、脳を活性化するハーブの力

矢澤 一良 著 2003.12.28 発行
ISBN 4-89295-441-1 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


バコパで頭がよくなるって本当?

アーユルヴェーダの伝統薬草バコパで心の病に克つ

記憶の中枢は「海馬」と「新皮質」
バコパは、記憶力と学習能力を高める効果も期待できます。
全身の指令塔である脳は、左図のような構造をしていて、部位によって役割が違っています。このうち、記憶に深く関係しているのは、大脳の表面を覆う「新皮質」と、その下の古皮質にある「海馬」と呼ばれる部分です。
海馬は、いわば記憶の入り口で、新たに学習したことを一時的に保管しておく場所であり、「短期記憶」の中枢とされています。
そのため、手術でこの部分を切除したり、脳の血管障害などで海馬の神経細胞が大量に死滅すると、新しいことを覚えられなくなります。痴呆症の患者さんも、この部位が障害されているケースが多いことが知られています。
一方、「長期記憶」に深く関係しているのが、大脳の新皮質です。
海馬に一時保管された記憶は、その後、大脳の新皮質へと送られて、そこに定着すると推測されています。何らかの原因で新皮質が破壊されると、過去に学習した知識が一気に失われてしまいます。

抗酸化作用で記憶中枢を守る
バコパの摂取で記憶・学習能力が高まる背景には、第一に抗酸化作用が大きく影響していると考えられています。
ストレスや脳の血管障害などによって、海馬または新皮質で多量の活性酸素が発生すると、神経細胞が大量に死滅する危険性が高まります。事実、慢性的なストレスは、海馬の神経細胞を死滅させることは16頁で述べました。
バコパの強い抗酸化力は、ストレスの多い現代人の脳を活性酸素から守るうえで大いに有効です。

傷ついた記憶中枢の復活にも貢献
神経細胞の修復や成長を助ける作用もバコパにあります。加えて、バコパは神経細胞どうしの情報伝達物質のやりとりも円滑にします。
したがって、活性酸素で一部の神経細胞がやられても、バコパを日常的にとることで生き残っている神経細胞を最大限に活性化できれば、脳の働きの改善が十分のぞめるわけです。

ホルモン分泌の調整にも関与?
さらに最近の研究で、記憶が保存される過程には、アドレナリンやノルアドレナリンをはじめ、たくさんのホルモンが関与していることがわかってきました。
その多くは、ストレスを受けたときに放出されるストレス対抗ホルモンと共通であることから、バコパはこれらのホルモンの調整に働いている可能性も考えられます。
いずれにしても、バコパを摂取することで、記憶の中枢である海馬や新皮質を保護したり、活性化できれば、成長期の子どもの学力アップに最適です。
また、中高年世代の脳の老化の予防と改善にも大いに役立つでしょう。


※図省略

その他の各種薬用植物関連書籍