あっと驚く羅漢果の力

抗炎症・ストレス、老化防止、ダイエットにイイ働き

森 昭胤 著 1996.05.24 発行
ISBN 4-89295-363-6 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


中国の一部でしか採れない

あっと驚く羅漢果の力

羅漢果を広めた医師・羅漢とは?
「羅漢果」の名は、中国清王朝時代の医 師・羅漢に由来します。
清王朝嘉慶年間(一七九六〜一八二六)のこと。少数民族ヤオ族の医師であった羅漢は、山間部の傾斜地に自生していた果実に、すぐれた薬効があることを発見しました。そのことをヤオ族の王に上奏すると、王は喜び、その果実を「長寿の神果」と名づけました。そして、王の意志によって、果実は民間薬として国中に広まっていったのです。
人々は、薬効を発見してくれた羅漢の功績を称え、いつしかこの果実を「羅漢果」と呼ぶようになったのでした。
以上が羅漢果の名の由来ですが、「あれっ?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
「中国産の幻の果実」というからには、四千年も昔から民に親しまれていたような感じを受けます。しかし実際には、中国全土で羅漢果が民間薬として使われ始めたのは、近代に入ってから、一八五○年頃からなのです。

なぜ桂林でしか育たない?
どうして、中国全土に広まるのがそんなに遅かったのかといえば、一つには、羅漢果が中国でもごく限られた地域にしか育たなかったからです。
羅漢果は、世界でただ一ケ所、中国広西壮族自治区の桂林周辺でしか育ちません(6ページ参照)。ほかの地域で栽培しようとしても、うまくいかないのです。当然、日本で売られている羅漢果も、すべて中国からの輸入品です。
では、なぜ桂林周辺でしか育たないか。羅漢果が育つにはさまざまな気候・環境条件が揃わなければならないからです。例えば羅漢果は日照時間が短く、昼夜の温度差が大きく、水はけのよい土地を好みます。
桂林周辺は、この三条件を備えた数少ない土地の一つであり、しかもそれ以外の条件――緯度、土壌、紫外線の量など――においても、羅漢果の生育にぴったりと合った土地なのです。
広い中国の中で、桂林でしか育たなかったこと。それが、羅漢果が長きにわたって「幻の果実」であった理由なのです。




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