中高年の能力アップにイチョウ葉エキス

高齢化時代のエースとして期待の保健食品

矢澤 一良 著 11998.10.28 発行
ISBN 4-89295-391-1 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


痴呆症状がここまで改善された!

中高年の能力アップにイチョウ葉エキス

症状の進行を先送りできる
アメリカのルバール博士らは、アルツハイマー型痴呆症に対するイチョウ葉エキスの効果を、次のような臨床試験で明らかにしています。

【試験方法】
試験の対象となったのは、アルツハイマー型痴呆症の患者さん309名(最終的には202名)です。これらの患者さんを二つのグループに分け、一方の群にはイチョウ葉エキス(1日120r)を投与し、もう一方の群にはイチョウ葉エキスと形状がそっくりの偽薬を52週間にわたって投与し、両者の症状の変化を比較しました。
ちなみに、対象となった患者さんと、その患者さんに薬を手渡す担当医には、試験終了時まで、どちらが本物のイチョウ葉エキスで、どちらが偽薬かは知らされていません。こうした試験法を「二重盲検法」といい、現在、試験薬の効能を探るうえで最も信頼できる検査法とされています。

【結 果】
イチョウ葉エキスの効果は顕著でした。イチョウ葉エキスを投与した患者さんは、認知行動(記憶力、言語力など)や老年性評価が有意に改善し「イチョウ葉エキスの投与によって痴呆症状の進行を6ヵ月から1年は遅らせることができ、さらには改善する可能性もある」ことが明らかになったのです。

  ・ヨーロッパでは医薬品として認可

日常の生活能力が有意に向上した
フランスのモロー博士らが、慢性の脳循環不全で痴呆症状が出ている患者さんを対象に行なった臨床試験では、次のような成果がみられています。
【試験内容】
60人の患者さんをイチョウ葉エキス投与群と偽薬投与群に分けて、3ヵ月間治療を行ないました。
【結 果】
活力や気分、睡眠、周囲への関心度、食欲といった一般的な活動項目の改善度は、偽薬群が42・8%に対して、イチョウ葉エキス群では89・6%。さらに知能テストでも、イチョウ葉エキス群は偽薬群に比べて有意に好成績を示し、総合的な有効率は偽薬群21・4%(極めて有効は0%)に対し、イチョウ葉エキス群では79・3%(極めて有効は34・5%)となりました。
ちなみに、血圧の高い患者さんには血圧の低下も認められています。
こうした結果から、モロー博士は「イチョウ葉エキスは慢性脳循環不全とその機能障害、脳血管発作後遺症や頭蓋外傷後遺症に対して、非常に興味ある治療剤と考えられる」とまとめています。

8割の患者さんに活発さが生まれた
ドイツのマルテーザ病院で行なわれた臨床試験も紹介してみましょう。
試験の対象となったのは、痴呆症状を呈して介護を必要とする患者さん31名でした。このうち14名は、脳卒中の後遺症による脳血管型の痴呆で、残りの患者さんにも脳の血流低下がみられました。
4週間にわたってイチョウ葉エキスを投与した結果、81%の患者さんに「活発さ」や「会話能力の向上」が認められました。また、74%の患者さんは、介護が必要ないほど日常生活の活動能力が回復したといいます。

二つのタイプの痴呆に同程度の効果
アルツハイマー型痴呆と脳血管型(多発梗塞性)痴呆の患者さん209名を対象にした二重盲検法のデータも出ています。
それによると、24週にわたる試験の結果、臨床的な全体の印象で「著効」と判定されたのは、偽薬投与群が17%に対してイチョウ葉エキス(1日240r)投与群では32%。また、注意力と記憶力の平均的な改善率は、偽薬群で7・1%に対し、イチョウ葉エキス群では21・6%にのぼったそうです。
ちなみに、イチョウ葉エキスは、アルツハイマー型と脳血管型に同程度の効果を示したと報告されています。

4週間の投与で知能指数が向上
脳血管型とアルツハイマー型、両者の混合型の中程度の痴呆の患者さんを対象にした次のような臨床試験もあります。
40名の患者さんを二つのグループに分けて、一方にはイチョウ葉エキスを200rずつ週2回投与し、もう一方には偽薬を同じ形で投与しました。
4週間後、臨床的な全体の印象で「改善」と判定されたのは、偽薬投与群7名に対して、イチョウ葉エキス投与群は17名でした。また、一般的簡易知能テストで「知能指数の改善」が確認できたのは、偽薬群1名に対し、イチョウ葉エキス投与群は9名にのぼったそうです。

中等度の痴呆がすっかり改善した
日本人医師による治療成績も出ています。1998年に日本で開催されたイチョウ葉エキスに関する国際フォーラムで、結城第二病院の大木昌衛院長が発表したものです。大木院長は、自らの痴呆症克服談を交えながら、痴呆症の患者さん3例にイチョウ葉エキスを投与した成果を報告しています。ここではその中から、Aさん(90歳・女性)の治療例を紹介してみましょう。
入院当初のAさんは、幻覚や妄想などの情緒障害がみられ、会話の受け答えも不十分な状態でした。簡易知能テスト(認知機能の低下などを判定するテストで、20点以下を痴呆とみなす)の成績は10点。中等度の痴呆と診断されました。
そこで、さっそくイチョウ葉エキスの投与を開始。毎日240rずつ投与しつづけたところ、1ヵ月後の簡易知能テストの結果は19点、2ヵ月後には正常範囲の25点まで回復したといいます。
大木院長によれば「イチョウ葉エキスの効果は見た目にも明らかで、精神的にも落ち着きを取り戻し、会話力も回復、簡単な計算もスムーズにできるようになり、最終的にはすっかり痴呆のない状態に戻った」そうです。

日頃から予防につとめることが先決
いずれにしても、これまで報告されている研究データを見ると、イチョウ葉エキスの投与は、特に中等度までの痴呆に対して大きな成果をあげています。
症状別では、記憶や知能、社会的覚醒のほか、気分・頭痛・めまいなどに著明な効果がみられています。
かなり進行した重度の痴呆症の回復は難しいようですが、早い段階で痴呆を発見し早期にイチョウ葉エキスの摂取を開始すれば完治も十分可能と思われます。
最良なのは、できるだけ若いうちから継続的にイチョウ葉エキスを摂取し、痴呆症の予防につとめることです。




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