簡単、飲むだけガルシニアダイエット

果皮のHCAが脂肪形成を妨げ、分解促進

松永 政司 著 1996.02.03 発行
ISBN 4-89295-367-X C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


脂肪の分解を促進

簡単、飲むだけガルシニアダイエット

マロニルCoAの重要な慟きとは
ガルシニア食品を摂取すると、脂肪の分解が促進されますが、そのしくみを理解するには、まずマロニルCoAのもつ重要な働きを知っておく必要があります。
マロニルCoAは、前述の通り、脂肪酸合成の直接の材料になりますが、もう一つ非常に重要な役割を担っています。それは肝細胞内における脂肪酸の合成と分解をコントロールするという働きです。

分解とコントロールのしくみ
そもそも脂肪とは、余分な糖質を体内にコンパクトに貯蔵するための形態です。ちなみに炭水化物は1グラム当たり四キロカロリーですが、脂肪では1グラム当たり九キロカロリーにもなります。
この脂肪は、必要となれば分解されてエネルギーとなります。細胞質内には、カルニチンアシルトランスフェラーゼという酵素が存在し、これが脂肪酸をミトコンドリアの中に入り込ませます。
ミトコンドリア内に入った脂肪酸は段階的に酸化され、3−ケトアシルCoAを経てアセチルCoAに変わり、クエン酸サイクルで完全燃焼されて、エネルギーとなります。
ところで、脂肪酸を合成する場合にも分解する場合にも、それぞれエネルギーが必要となります。そこで、もし、脂肪酸の合成と分解が同時に行なわれるとすれば、それはエネルギーの無駄遣いになってしまいます。
そのため、脂肪酸の合成が活発に行なわれるときには、脂肪酸の分解が抑制されるというしくみになっています。
その役割を担っているのが、マロニルCoAなのです。細胞質内でマロニルCoAの濃度が高くなると、カルニチンアシルトランスフェラーゼの活性がブロックされてきます。
脂肪酸の合成が活発に行なわれているときは、当然マロニルCoAの濃度も高いわけですから、カルニチンアシルトランスフェラーゼはほとんど働きません。
その結果、脂肪酸はミトコンドリア内に入り込めなくなるので、分解されてエネルギーとなることはないのです。

脂肪の分解が促進される
ガルシニア食品を摂取すると、その働きによって細胞質内のクエン酸が分解されなくなるので、細胞質内のアセチルCoAの濃度が低下します。当然それに伴って、マロニルCoAの濃度も低下します。
そのため、カルニチンアシルトランスフェラーゼの酵素活性が上昇し、脂肪酸をどんどんミトコンドリア内に送り込み始めます。つまり、脂肪の分解が促進されるわけです。

ケトン体の合成
ミトコンドリア内に送り込まれた脂肪酸は、本来なら段階的に酸化され、3−ケトアシルCoAを経てアセチルCoAに変わり、クエン酸サイクルで完全燃焼されます。
しかし、脂肪酸をアセチルCoAに変える能力には限度があるうえ、ガルシニア食品の働きにより、ミトコンドリア内では多量のアセチルCoAが余っています。
そのため、脂肪酸の酸化は3−ケトアシルつ乱でほとんど止まってしまい、アセト酢酸などのケトン体に変えられてミトコンドリア内から細胞質に移り、さらに血液中に放出されて全身の細胞に運ばれ利用、あるいは体外に排泄されます。
このようなケトン体の生成、利用は、本来なら長時間糖質を摂取せずグリコーゲンを使いきってしまった場合や、長時間の運動により体内の糖質ストックを使い果たしてしまった場合に起こります。
こういったいわば極限状況では、強い食欲(飢餓感)は邪魔になるだけです。そこで、前項で述べたように、ケトン体が生成され、その血中濃度が高まると食欲が抑制されるしくみになっています。
長時間なにも食べずにいると、初めのうちは空腹を感じ、それが次第に飢餓感に高まり、さらに進行すると食欲を感じなくなってしまうのは、このためです。

全身の脂肪細胞が縮む
肝臓に充分なグリコーゲンがあるにもかかわらず、ガルシニア食品の働きにより、以上のようにケトン体の生成、利用ということが起こります。
この状況下では、肝細胞は血液中の脂肪酘を次々に取り込み、ブドウ糖に代わるエネルギー源としてケトン体を血液中に放出し、全身の細胞に供給します。
一方、全身の脂肪細胞は、肝臓に脂肪酸を供給し続けるため、それまで蓄えていた脂肪を分解して脂肪酸を血液中に放出し縮み始めます。つまり、全身の脂肪分解(皮下脂肪の減少など)が促進されるということが起こるわけです。

ケトン体の効用
摂食時の脳のエネルギーはブドウ糖です。それが絶食を二回も続けると、脳のエネルギーは五〇パーセントがケトン体になります。絶食をすると集中力がましますが、その理由はケトン体によると考えられています。
通常は絶食しないと増えないケトン体が、ガルシニアの摂取で増えるわけですから、ガルシニアは集中力を増す効果もあるわけです。




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