「沙棘」は小粒でも美容に効果大

抗酸化成分が豊富な生命の果実

田代 眞一 著 2003.09.12 発行
ISBN 4-89295-617-1 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


1回の摂取で「2度効く」理由

「沙棘」は小粒でも美容に効果大

抗酸化作用に2度ピークがある
沙棘の抗酸化作用は、食品としてはきわめて強いものです。
しかも、沙棘の抗酸化力は、摂取直後と、摂取から数時間後の「2度」にわたってピークがあるのが大きな特徴です。
なぜ2度のピークがあるのか、これについては今後の詳しい検証が必要ですが、私は次のように推測しています。
沙棘には、前に述べたように複数の抗酸化成分が含まれています。そのうち、まず脂に溶けやすい「脂溶性成分」が、胃などの消化管上部で優先的に吸収され、―度目のピークを生み出すと考えられます。
なぜなら、胃壁をけじめ、私たちの体を形づくっている細胞の膜は「脂(リン脂質)」でできているため、脂溶性成分のほうが体内に吸収されやすいからです。
しかし、沙棘果汁を飲んだあと、6時間後および8時間後に、再び血中の抗酸化力が高まるということは、この時間帯に吸収される別の抗酸化成分かあることを示しています。6時間後、8時間後といえば、ちょうど沙棘果汁が「盲腸」へ到達する時間帯です。
私は、この盲腸こそ、2度目のピークを生み出寸重要な拠点になっていると考えています。

2度目は盲腸から吸収される?
人の腸には、百種類百兆を超える細菌が定住しています。そのなかで、とりわけ細菌が多いのが盲腸です。
盲腸は、結腸から回腸へつながる曲がり角の組織。出口のない袋小路状の構造になっているので、食物のカスがたまりやすく、それをエサに膨大な数の細菌が繁殖しています。
じつは、それらの細菌のなかには、水溶性の成分を、体内に吸収されやすい形に換える働きをもつものがいます。これは漢方薬の研究から明らかになった事実です。
すなわち、漢方薬の中には「配糖体」といって、糖のついた構造をした有効成分を含んでいるものが多くあります。貔がついていると細胞膜を通過しにくいため、消化管上部では吸収されず、腸まで送られます。そして盲腸で、その糖を好んで食べる細菌によって糖がはずされ、盲腸壁からどんどん吸収されて効果を発揮することが知られているのです。
私自身、漢方の研究を長く続けてきた経験から、沙棘を摂取した場合も、同じような現象が起こるのではないかと考えています。
すなわち、沙棘に含まれる水溶性の抗酸化成分が、胃や十二指腸で吸収されずに、抗酸化力を保つたまま盲腸へ送られ、そこから吸収されて2度目のピークを生み出していると推測されるのです。
これについては、今後の研究で明らかにしていきたいと思っています。




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