羅布麻の驚く効きめ

血圧降下、免疫機能アップ、副作用なし

難波 恒雄 著 1995.04.28 発行
ISBN 4-89295-348-2 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


中国に広く分布する野生植物

羅布麻の驚く効きめ

キョウチクトウ科の多年草
羅布麻(らふま)は、キョウチクトウ科のバシクルモン属の多年生宿根草本(草本とは俗に草≠ニ呼ばれているもの)植物です。
この中国に分布している羅布麻は、紅麻〔Apocynum venetum L.(=A.lancifolium RUSSAN.A.venetum L.var.lancifolium(RUSSAN)HARA)トウバシクルモン、ヒナキョウチクトウ〕と白麻〔Apocynum hendersonii (WOODSON) HOOK.f. 大花羅布麻〕の二種があります。
日本には北海道の西部に同属のバシクルモン(Aposcynum venetum L.var. basikurumon HARA)が分布しています。

羅布麻のさまざまな名称
羅布麻という名称は、一九五二年に、その主な生育地である「羅布平原」の名からとられ、命名されました。
中国では、羅布麻の呼び名は各地域ごとに異なっており、たくさんの名称があります。そのなかのいくつかを挙げると、沢漆麻(江蘇省、安徽省北部、山東省西部および河南省東部)、茶葉・子(河北省南部および山東省海岸地区)、茶葉花(山西省および陝西省北部)、野茶、紅花草、紅根草(陝西省関中地区)、野麻(新疆および甘肅の漢族、回族地区)、野務其乾、陶格其乾、哈拉其乾、克之其乾(新疆ウイグル族地区)、塔拉肯特爾(ハサック族)、礼哈(青海省柴達木盆地)、賽爾力克奥爾斯(モンゴル族)などです。

「沢漆麻」が「羅布麻」に充当
このように多くの名称をもった羅布麻ですが、中国の研究機関により、羅布麻は本草学的考証がなされました。羅布麻の名称は、古来の本草書(薬物の本)にはありませんが、別称の沢漆麻は古い本草書の沢漆と関係があるようです。『神農本草経集註』(五〇〇年頃)や『図経本草』(一〇六二年)などでは、沢漆は大戟の苗あるいは花と誤解されていました。大戟も種類の多いものですが、一般にトウダイグサ科のEuphorbia pekinensis RUPR. の根とされています。

羅布麻の繊維は麻と同じく利用
明代の李時珍は、その著『本草綱目』(一五九六年)で、沢漆を猫児眼晴草
Euphorbia helioscopia L. トウダイグサに充て、その図を描いていますが、記載文といくつかの矛盾があります。
歴代本草書を調べた結果、明代の朱椚の著『救荒本草』(一四〇六年)中の沢漆の記文と図が羅布麻とよく一致することがわかりました。
救荒本草』に収載された四〇〇種あまりの植物は、著者の朱椚が自ら収集、栽培、観察したもので、この書は河南省の開封で出版されています。
今でも開封の人たちは羅布麻のことを沢漆麻と称し、嫩葉を茶として飲み、その繊維を麻と同様に用いています。


※図省略



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