南米の伝統的薬草エルカンプーレ

メタボリックシンドロームを一掃

小川 博 著 2006.05.17 発行
ISBN 4-89295-612-0 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


血糖値の上昇が抑えられた

南米の伝統的薬草エルカンプーレ

糖尿病とはどういう病気か
エルカンプーレは、血糖値の上昇を抑える力もあります。
通常、血液中の糖は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによって、全身の細胞の中へエネルギー源として順次送り込まれるしくみになっています。
ところが、何らかの原因で、インスリンの分泌が激減したり、その働きが鈍くなると、血液中に糖がどんどん残って、尿にも漏れ出てくるようになります。これが糖尿病です。

日本の糖尿病の大半は「U型」
糖尿病は、膵臓が障害されてインスリンの分泌が完全に途絶えてしまう「T型」と、インスリンの働きが鈍くなる「U型」に分類されます。
日本人の糖尿病患者さんの大半を占めるのはU型の糖尿病。
U型糖尿病は、遺伝的な要素に加えて、過食や運動不足、ストレス、肥満などが重大な引き金になるといわれています。
メタボリックシンドロームの対象になるのは、このU型糖尿病のうち、空腹時血糖値が110〜126r/dlの「境界型」に属す人たちです。

血糖とインスリンが減少
U型糖尿病の治療も、食事療法が基本とされていますが、ここでもエルカンプーレが役立ちます。
私たちの研究グループが行った動物実験を紹介しましょう。
実験には、成長するにつれてU型糖尿病と肥満を発症するネズミ(OLETFラット)」を使用しました。実験を始めたときは、すでにU型糖尿病がかなり進行した状態にありました。
このU型糖尿病ネズミを2群に分けて、一方にだけエルカンプーレを与えて飼育しました。
6週間後の両群の血液中の糖(グルコース)とインスリンの量を示したのが、左の図です。
エルカンプーレ摂取群のほうが、糖とインスリンの上昇がともに抑えられているのがわかるでしょう。これはインスリンの働きがよくなって、全身の細胞へ糖が円滑に送り込まれはじめた結果と考えられます。

高脂血症も改善された
この実験では、血液中のコレステロールの変化もみています。
その結果、エルカンプーレを6週間摂取した群では、悪玉のLDLコレステロールとVLDLコレステロールが明らかに減少しました。
VLDLコレステロールは、LDLコレステロールの前段階で、中性脂肪を多く含んでいます。そのため、これがLDLコレステロールとともに血液中に増えると、動脈硬化が進んで、糖尿病の合併症(腎症、網膜症、神経障害)も起こりやすくなります。
エルカンプーレの摂取は、その予防にも大いに有効と考えられます。


※図省略




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