糖尿・ダイエットにギムネマ

インド2000年の甘味抑制薬草

幡井 勉 著 1994.08.23 発行
ISBN 4-89295-338-5 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


“ギムネマ酸”の二大作用

糖尿・ダイエットにギムネマ

「ギムネマ酸」の発見
ギムネマの有効成分の主役は、“ギムネマ酸”といわれるものです。
このギムネマ酸の発見は、十九世紀の末。イギリスの科学者フーパーが“甘味を消す物質”をギムネマからの抽出に成功し、それを「ギムネマ酸」と命名したのです。
そもそもは、植民地時代のインドで、イギリス人将校が、甘みを感じなくなる不思議な植物のことを知り、ヨーロッパに持ち帰ったのがきっかけでした。

甘味抑制作用
ギムネマ酸の性質には大きく二つの特徴があります。
その一つが、甘味を消す作用です。
ギムネマ酸の化学構造は、トリテルペンという骨格にグルクロン酸という糖が一個ついた形になっています。
ギムネマ酸が甘みを消すわけは、このグルクロン酸の配糖体が、人間の舌にある味覚を感じる味蕾の一部分(甘みを感じる部位)をマヒさせるためです。
味蕾には“味細胞”が集まっていて、ギムネマ酸は味細胞の表面にある“味の受容体(味物質を識別する部分)”にくっつく性質があります。
そのため、ギムネマ酸を摂ったあとから砂糖(甘み)がきても、先にギムネマ酸がくっついて“占拠している”ために受け入れてもらえず、甘みを感じなくなるわけです。
ギムネマ酸が抑制するのは甘みだけで、その他の味覚(酸味・苦味・塩味など)を抑制することはありません。

血糖値降下作用
ギムネマ酸のもう一つの性質は、血糖値を下げる作用です。
三大栄養素の一つである炭水化物は、ふつう、体内に摂取され消化されるとグルコース(ぶどう糖)となって、小腸などから吸収されます。
ぶどう糖の吸収のされ方には二通りあって、タンパク質と結合して吸収される「能動的」なものと、それを伴わない「受動的」なものです。
ギムネマ酸は、能動的なぶどう糖の吸収を阻害する作用があります。つまり、ギムネマ酸には、ぶどう糖が小腸の上皮細胞から血管に入るのを妨害する働きがあるわけです。
例えていうなら、腸壁まで運び込まれてきたぶどう糖は、そこでダンプカーに積み込まれ(たんぱく質と結合し)て“血管道路”に乗ります。ところが、ぶどう糖が到着する前にギムネマ酸が積荷されてしまい、グルコースが乗れなくなってしまうわけです。この割合が約50パーセントくらいです。
したがって、約半分のぶどう糖が吸収されないままに、腸内の細菌によって分解されてしまいます。ということは、それだけ血糖値が上がらずにすむということです。
このギムネマ酸の「血糖値抑制作用」は、血糖降下剤を投与して膵臓からホルモン(インシュリン)を引き出すことで血糖値を下げようとする西洋医学とは、本質的に異なります。




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