イチョウ葉エキス健康増進強化血管

高血圧、脳卒中、痴呆など、脳と血管の疾患に効く

藤澤 明生 著 1996.07.31 発行
ISBN 4-89295-366-0 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


老人性痴呆症の予防と回復に

イチョウ葉エキス健康増進強化血管

脳血管型痴呆の予防に最適
加齢にともなう脳の機能低下とは別に、何らかの原因で広い範囲の脳細胞が死滅し、記憶障害などを引き起こすのが、老人性痴呆症です。
発症原因によって「脳血管型」と「アルツハイマー型」の二つのタイプに大別されますが、このうち、前者の「脳血管型痴呆症」は名前のとおり、脳出血や脳梗塞といった脳の血管障害によって発症するものです。したがって、その予防にイチョウ葉エキスは大いに有効です。
また、すでに脳の血管が障害されて症状が出ている場合でも、イチョウ葉エキスで血流を促し、生き残っている脳細胞の活力を高めることは、ある程度の回復効果への期待につながります。

アルツハイマー型の予防効果も
一方、「アルツハイマー型痴呆症」は、発症原因がよくわかっていないため、イチョウ葉エキスの効果も定かではありません。
とはいえ、アルツハイマー型の患者さんの脳を調べてみると、脳の中でも特に、記憶をつかさどっている「海馬」と呼ばれる部分の細胞が集中的に死滅していることが知られており、じつは、イチョウ葉エキスには、この海馬の血流量を増やす働きのあることが報告されています。
このようなことから、日常的にイチョウ葉エキスをとっていれば、アルツハイマー型に対する予防効果も大いに期待でき、初期の段階であれば多少の回復効果も望めるのではないかと思われます。

ドイツの臨床で顕著な改善効果が
ドイツのニューデンベルグの大学病院では、老人性痴呆症の患者さんにイチョウ葉エキスを投与して、次のような成果をあげています。
《臨床内容》軽度〜中度の老人性痴呆症の患者さん四〇人を対象に、イチョウ葉のエキスを十二週間にわたって投与し、症状の変化をみました。
なお、この調査は厳正な結果を出すために、二重盲検査法で行なわれています。二重盲検査法とは、対象者を二群に分けて、一方にはイチョウ葉エキスを飲んでもらい、もう一方には偽薬を飲んでもらって、患者さんはもとより担当医にもどちらが本物かを告げずに、第三者が効果を判定する検査法です。
《結果》イチョウ葉のエキスを投与したグループでは、数字の反復テストや刺激に対する感覚の反応時間が、八週目と十二週目で顕著な改善が認められました。ちなみに偽薬のグループでは、まったく変化がなかったそうです。

痴呆症状を完全に治すのは無理
私の病院でも、軽い老人性痴呆症の患者さんにイチョウ葉エキスを飲んでもらって経過を追っていますが、徐々に痴呆症状は改善されています。
ただし、イチョウ葉エキスの効果は、痴呆症を完全に治すというものではなく、症状が悪化したときに利用すると、ある程度の改善効果が得られるというものだと思います。




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