ササ成分は人体に有効!
“たかがササ”とバカにする人も多いでしょうが、ササはじつに多くの成分を含む有益な植物なのです。
ササの成分は、光合成を営んでいる緑色の葉の部分と、それを支えながら水分の通り道になっている稈や枝の部分で違っています。
稈や枝の含有成分は、広葉樹材とほとんど同じで、ほぼ糖質(セルロースなど)七〇%、リグニンニ○%、その他一〇%です。細胞壁は大部分が糖質からできていて、繊維をはじめ細胞は。紙の原料になります。リグニンは、細胞の“木化”に欠かせない物質で、細胞壁間に蓄積されて細胞を接着しています。
葉の成分は糖質六〇%、リグニンニ○%、その他が二〇%。稈に比べ倍もあるその他の成分はケイ酸やミネラルなどの無機成分が大部分で、クロロフィルなど色々な成分も含まれています。
とくにアミノ酸をはじめ、ビタミン、タンニン、ミネラルなど、人間の健康に有用な働きをする成分が多数含まれているのが特色です。まさに“されどササ”ですね。葉から温水に溶け出す諸成分量は、稈の約一・五倍あって、それがササ茶の成分です。
クマイザサ葉温水抽出物中のアミノ酸(100g中のミリモル)
順位 | アミノ酸 | 新葉 | 旧葉 |
1 | グルタミン酸 | 7.7 | 3.4 |
2 | グリシン | 6.6 | 5.0 |
3 | アラニン | 4.8 | 5.1 |
4 | δアミノブチル酸 | 3.8 | 2.0 |
5 | アスパラギン酸 | 3.7 | 2.6 |
6 | ○バリン | 2.5 | 1.5 |
7 | プロリン | 2.0 | 1.7 |
8 | セリン | 2.3 | 1.6 |
9 | ○ロイシン | 1.6 | 1.4 |
10 | スレオニン | 1.4 | 1.3 |
11 | ○イソロイシン | 1.2 | 0.9 |
12 | ○フェニルアラニン | 1.0 | 0.8 |
13 | エタノールアミン | 0.4 | 0.5 |
14 | ○リジン | 0.4 | 0.4 |
15 | アルギニン | 0.4 | 0.4 |
○印=必須アミノ酸
ササのアミノ酸の種類とその効能
ササエキスの中には二四種類ものアミノ酸が含まれています。アミノ酸はたんぱく質の構成成分になったり、人体に必要不可欠なものです。
なかでも体内で合成することのできないアミノ酸を“必須アミノ酸”といい、成人で八種類、乳児で九種類あります。
ササエキスの中には、必須アミノ酸のうちトレオニン以外はすべて含まれているのです。
ササの新葉と旧葉を比べてみると、ほとんどのアミノ酸は新葉の方により多く含まれています。とくに、コンブの“うま味”成分として名高いグルタミン酸は、新葉の中に旧葉の二倍以上含まれていますから、ササ茶は新葉で作るのが合理的です。
ササのミネラルの種類とその効能
一般的にイネ科の植物にはケイ酸が多量含まれています。ササもイネ科ですからケイ酸は多く含みますが、効能の上で重要なミネラルは、カリウムーカルシウムーマグネシウムーナトリウムの四種類。
ササエキスを飲んだ人には「血圧が下がった」という人が多勢います。それはエキス中にたくさん含まれているカリウムが、体内のナトリウムを追い出したためです。
食塩の摂りすぎは血圧を高くし、動脈硬化や心臓病の原因となります。食塩はナトリウムと塩素が結合したもので、このナトリウムが血圧を押し上げるのです。
近年は減塩食(1日10g以下)が奨励され定着しつつあるものの、日本人はどうしても食塩を多く摂りがちです。それなら、日本国中に豊富なササも一緒に摂取すれば、ナトリウムとカリウムの体液バランスが保たれ、高血圧予防につながります。
また、摂取基準量を唯一クリアしていないカルシウムも豊富に含まれていますから、ササの利用で基準量をクリアしたいものです。
クマイザサの葉中のミネラル(%)
新葉 | 旧葉 | |
カルシウム | 1.6 | 3.4 |
マグネシウム | 1.5 | 1.8 |
カリウム | 33.3 | 19.4 |
ナトリウム | 0.9 | 1.6 |
ケイ素ほか | 62.7 | 73.8 |
ササのビタミン類とその効能
ビタミンはミネラルとともに、たんぽく質、脂質、炭水化物に次ぐ五大栄養素の一つです。生体内では生合成されないため、食事などによって外界から摂取しなければならない不可欠な栄養素です。
ササエキスの中には、左表のような水溶性ビタミンが八種類含まれています。
濃いササエキスを口内炎の患部につけるとよく治りますが、これぱビタミンB2の働きによるもの。
また、コリンは脂肪肝や肝硬変の治療に用いられ肝臓機能を強化し、体内でアセチルコリンとなって自律神経の鎮静化にも作用します。
クマイザサエキス中のビタミン類
分析試験項目 | 結果 |
リボフラビン (ビタミンB2) | 1.34mg/100g |
ビタミンB6 | 1.36mg/100g |
ビタミンB12 | 1.3μg/100g |
コリン | 0.33g/100g |
ナイアシン | 20.7mg/100g |
パントテン酸 | 2.1mg/100g |
ビオチン | 85.6μg/100g |
葉酸 | 0.12mg/100g |
タンニン、葉緑素などの効能
ササにぱアミノ酸やミネラルのほかに、″槓物の血″といわれる葉緑素やお茶っ葉の″渋み&で有名なタンニンなども豊富匕含まれています。
葉緑素は水に溶けませんから、温水で抽出したエキスには含まれていません。しかし、葉緑素を温和な条件でアルカリ加水分解すると、水によく溶ける暗緑色のクロロフィリンが得られます。
クロロフィルは、歯みがき粉の着色料・防臭剤・脱臭剤などに使われるだけでなく、造血薬の成分としても利用されています。クロロフィルの入った緑色のササの葉微粉末を飲むと、口臭がなくなります。
また、ササエキスに約二%の割合で含まれるタンニンは、胃腸の収斂作用を助け、消化活動を高めたりします。ですから、ササも紛末にしたものをお湯で抽出。すると、立派な“ササ茶”としておいしくいただけます。